元山口県柳井市の市長であり、現在は医療DXを推進する一般社団法人「健康医療情報が拓く未来会議」の共同代表を務めていらっしゃる河内山哲朗氏へインタビューを行いました。2025年7月24日 弊社主催セミナー 「Vantiq Agentic AI Summit in Tokyo ― Vantiqで繋がる、広がる新しいリアルタイム x AIの世界 ―」にてパネルディスカッションの司会を務めていただきます。
Society 5.0をテーマに、日本社会の抱える課題、DXの需要について語っていただきました。
河内山哲朗氏 一般社団法人「健康医療情報が拓く未来会議」共同代表
(https://medical-mirai.com/effect/)
河内山 氏:
最も長く務めたのは山口県柳井市の市長職で、16年間従事しました。市長の仕事は、海の底から山の上まで、産業で言えば水産業、農業、林業、製造業、サービス業など多岐にわたり、対象年齢も新生児の医療から高齢者の介護・福祉、さらには出生前の少子化対策や亡くなった後の火葬場運営まで、まさに人の一生すべてをカバーするものでした。多種多様な課題に日々取り組み、16年目になってもなお新しい発見がある仕事でした。
市長職の一部である医療保険分野にも深く関わり、国民健康保険の運営や政府の社会保障審議会の委員も務めました。その後、診療報酬の審査・支払を担う機関の理事長を6年間務め、医療保険の実務にも精通しました。さらに、松下政経塾の塾長として人材育成にも取り組み、現在は一般社団法人「健康医療情報が拓く未来会議」の代表理事として、遅れている医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に尽力しています。
(引用:内閣府 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/society5_0-1.pdf)
河内山 氏:
現代社会では毎秒のように膨大なデータが生み出され、「専門分化」が極端に進んでいます。特に医療分野では、心房は詳しいが心室は分からない、十二指腸は分かるが小腸は分からないといったように、知識が細分化されすぎており、専門家であればあるほど全体が見えなくなる傾向にあります。
こうした中で本来求められるのは、患者の年齢や状態に応じて総合的に判断できる医師の存在です。例えば、小学生と80代の高齢者では同じ病気でも治療方針はまったく異なります。かつては、医師が診察室で患者の顔色を見たり、胸や背中を軽くたたいたりして診察していました。こうした「経験知」の活用は、科学的な裏付けに乏しいとされてきましたが、現在ではデータ解析の進展により、こうした「経験知」も科学的に立証されつつあります。
Society 5.0が目指すのは、細分化された知識を統合し、知恵として活かす社会の実現です。
河内山 氏:
Vantiqの様々なデータを統合して分析・処理できる技術が非常に役立つと考えています。病院や工場に設置された様々なIoT機器で温度や騒音、血液検査や脈拍など多様なデータを取得し、Vantiqはこれらを一つのプラットフォームにまとめて解析することができます。たとえば、「これとこれの組み合わせからこう判断し、自動で次の動きを起こす」といったリアルタイムの意思決定と自動化を実現しています。
こうした技術は、細分化された専門分野の壁を超えて全体最適を図り、医療現場をはじめ多くの産業で求められる課題解決に貢献しています。まさに現代社会に必要な技術をVantiqが提供していると言えるでしょう。
河内山 氏:
現代社会では科学技術の発展により膨大な情報が生まれ続けているため、専門性の高い方ほど全体像を把握する余裕がなくなっています。
たとえば車の運転において、かつては速度計など限られた情報だけを見ていればよかったのに、今では多くのセンサーやランプが設置され、常に何かが表示されています。しかし、ドライバーはそのすべてを正確に理解できているとは限らず、赤い警告ランプが点灯しても意味が分からないこともあります。情報は提示されているものの、初めて見る情報は実は人間側が瞬時に理解できず、結局判断に結びつかないという事態が起きています。
本来であれば即時に判断しなければいけない情報でも、「後で時間に余裕のある時にもう一度みてみよう。」となってしまうのです。
このように、多くの情報やデータがあっても、それを本当に理解・判断できていない状況が日常に見られます。結果として、本当に重要な情報を見落とし、多くの情報が活用されず“無駄”になっているのが現状です。
Society 5.0の社会では、自動化やアラートなどを通じて情報を有効に活用できる仕組みが求められます。情報を「意味ある形で使う」ことが、これからの社会で重要となると考えています。
河内山 氏:
今の日本社会全体に共通しているのは「人手不足」です。平成の大合併を通じて全国の市町村は約3,300から1,700程度にまで減少しました。実際、東京都内でさえ、「人が少なすぎて困る」という地域が生まれ始めています。
こうなると何が起こるか。まず、人の営みによって保たれていた自然とのバランスが崩れ、野生動物──たとえばクマやイノシシ──が人里に現れるようになります。あるいは、山の手入れが行き届かなくなったことで、大規模な土砂災害が発生しやすくなる。
さらに言えば、森林が荒れることで影響を受けるのは山だけではありません。豊かな森林が蓄えた栄養が川へと流れ、プランクトンを育み、最終的には海の豊かさへとつながっていく──つまり山が痩せれば海も痩せてしまう。
このように、人がいなくなることで山が荒れ、土砂崩れが起こり、水害が発生し、水資源が不足し、やがて都市に住む私たちの生活にも深刻な影響が及んでくる。たとえば今の米不足の問題も、その根は農村の崩壊にあります。
こうした現実に対し、Society 5.0は単なる都市の先進技術ではなく、社会全体を支えるためのビジョンとして非常に重要だと考えています。困りごとが発生しているところでこそ、人が助かるという目標を掲げるべきです。
Society 5.0は「Society」と名付けられている通り、社会そのもののあり方を変えるという意志を持っています。「ロボットや自動運転車などの支援により、人の可能性がひろがる社会」にもあるように、人間だけではカバーしきれない部分には、ロボットや自動運転技術といったテクノロジーを活用し、補完していく。そのような「自由な発想」こそが、Society 5.0の本質だと思います。
河内山 氏:
Vantiqのような技術は、まさにその一翼を担う存在です。たとえば、都市部のインフラや病院、工場などで実装され始め、うまく機能し始めた技術を、今後はどうやって自然や農村、過疎地に応用していくのか、関係のないと思っていた技術や取り組みが他の分野のニーズに結びついて、様々な分野で活かされていく。
Vantiqを活用すると「こういう世界がある」ということを伝えていく責任があると思います。
今後の社会において「暮らしの基盤」をどう守っていくのか、米不足が起きる前は、農業における問題は都市部の住民には関係のないことだと思いがちだったと思います。今は、都市の中だけを見ていてはもう社会は支えられません。これは政府や民間企業が協力して取り組むべき、本質的な課題だと思います。
河内山 氏:
Society 5.0やVantiqの技術については、理屈だけではなかなか理解しづらい面があります。そこで今回は、パネルディスカッションに加えて、実際にどのようなことが可能になるのかを「見える化」し、参加者の方々によりリアルにイメージしていただけるような工夫がなされています。
デモンストレーションや議論を通じて、「自分の会社だったらどう活用できるか」「自分の地域やふるさとに応用できるのでは」と、想像を膨らませていただくきっかけになればと願っています。
最終的には、参加者の視野や視点が少しでも変わるような時間となり、司会としてその想像をうまく引き出す役割を果たせればと思っています。
既にたくさんの方々のお申し込みをいただき、誠にありがとうございます。この度、大好評につき、増席をいたしました!
是非、以下のお申し込みフォームよりご登録ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
こちらのリンク(https://forms.office.com/r/0vg4BjkeCA)よりお申し込みをお願いいたします。
Vantiq Agentic AI Summit お問い合わせ事務局([email protected])
RAGの性能は、データの質に大きく依存します。高品質なドキュメントデータの収集、クレンジング、フォーマット変換が求められます。さらに、メタデータの付与やドキュメントの分割方法なども、RAGの精度に直結します。
一般的にベクトルデータベースは、検索対象全体に対して類似性検索を実行します。さまざまな種類のドキュメントが混在していると、検索結果にも影響が出ます。これでは品質を担保することが難しくなります。分野やドキュメントの種類によって領域を分けて構成することが望ましいでしょう。単一の大規模なベクトルデータベースを構築すると、この問題を回避することが難しくなる可能性があります。
また検索クエリとベクトルデータベースに保存されているドキュメントの文体を統一することも、些細なことのように思えますが、精度を向上させる上で重要なポイントです。フォーマルなドキュメントを口語で検索しても期待する結果が得にくい、といったことが例として挙げられます。
次回は、類似性検索結果を向上させるための手段として、クエリ拡張についてご紹介します。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
Vantiq株式会社
代表取締役社長 佐藤 知成
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